鉄筋探査
鉄筋探査方法には、電磁波レーダ法や電磁誘導法があり、鉄筋コンクリート中の鉄筋のかぶり厚さと鉄筋間隔などを非破壊で調べます。鉄筋探査は、構造物の耐震性能や耐久性能等を確認する上で最も重要な調査項目の一つです。
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電磁波レーダ法
レーダ法とは、電磁波をコンクリート表面から内部に向けて放射し、コンクリートと電気的性質が異なる物体(鉄筋や空隙など)や境界面から反射された信号を受信することにより、鉄筋の配筋状態などを調査するものです。
探査深度 | 約60cm |
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測点距離 | 無制限(1回の操作でメモリー残量による) |
電 源 | バッテリー駆動 |
ポイントNo. | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
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距離(cm) | 17.25 | 35.25 | 55.00 | 74.25 | 97.25 |
かぶり(cm) | 5.54 | 4.96 | 4.96 | 4.58 | 4.39 |
間隔(cm) | 0 | 18.00 | 19.75 | 19.25 | 23.00 |
電磁誘導法
センサとしてコイルを巻いた探触子(プローブ)を用い、これに交流電流を流すことにより、周囲に交流磁界を発生させます。鉄筋等の磁性金属にプローブが近づくと渦電流が発生し、この渦電流の二次電圧の変化を捉えることにより鉄筋位置の探査及びかぶり厚さの推定をします。
探査深度 | 185㎜ |
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電 源 | バッテリー |
鉄筋腐食調査
鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋の腐食は、ひび割れの発生、かぶりの剥離、鉄筋の断面欠損等により構造耐力の低下を引き起こすため、鉄筋腐食の状況を調べることは非常に重要です。
自然電位法
自然電位法とは、腐食により変化する鉄筋の電位を測定することによって、鉄筋腐食を診断する電気化学的方法です。 この方法は原理が単純で測定も簡単であり、1977年にASTMに規格化され、土木学会においても「JSCE-E601コンクリート構造物における自然電位測定方法」が基準化されています。
測定原理
鉄筋が腐食した場合、鉄筋表面から電子が溶け出すアノード反応(酸化反応)と電子が水や酸素と反応するカソード反応(還元反応)が発生します。鉄イオンは水酸化物イオンと反応して鉄の水酸化物である錆となります。鉄筋が腐食しているときは腐食電流が流れ、アノード部は負(ー)に変化します。自然電位法はこの負の電位を測定することにより、鉄筋の腐食を推定することができます。測定箇所を定めて、近傍の鉄筋を一部はつり出します。鉄筋間の導通を確認した後、コンクリート表面に散水して湿らせます。散水後クリップコードによって鉄筋と試験機を接続し、自然電位を測定します。
調査方法
現場での調査方法は、外観の劣化状況(ひび割れ、浮き、鉄筋露出、錆汁等)を目視で観察し、写真や図面に記録します。かぶり調査や配筋調査では、電磁波レーダ法、電磁誘導法で実施することや、はつり法による調査も実施します。
自然電位(E)(V vs CSE) | 鉄筋腐食の可能性 |
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-0.20<E | 90%以上の確率で腐食なし |
-0.35<E≦-0.20 | 不確定 |
E≦-0.35 | 90%以上の確率で腐食あり |