技術特集

ペンシルコア®によるコンクリート構造物の劣化診断

コンクリート構造物の長寿命化が進められているが・・・

わが国には大量のコンクリート構造物が社会資本としてストックされています。これらのコンクリート構造物の性能や機能を維持しながら、長期間にわたって供用していくための手法や考え方が提案され、実施されています。しかしながら、種々の理由から、変状が顕著になってから対症療法的な対策をとっている場合が多いのが現状のようです。

当社は、定期の診断時に行われている目視とテストハンマー中心の標準調査に、構造物への影響が小さい小径のコア(登録商標:ペンシルコア)を用いてコンクリートの健康度を定量的に診断する「プラスα点検」を提案します。

プラスα点検とは

プラスα点検とは直径25mm程度の小径コア(ペンシルコア®)を採取して、中性化、圧縮強度、塩化物イオンの浸入、アルカリ骨材反応などを調べる微破壊検査です。ペンシルコア®は、直径が小さいために配筋が過密な構造物からでも採取が可能であり、構造物への影響が小さく、定期診断時に容易に適用できます。
日常点検および定期点検の診断にこれらのデータを保存・蓄積することにより、構造物の現在の健康度を的確に把握し、将来の健康度を予測することが可能となります。

ペンシルコア®から分ること

ペンシルコア®からは、通常のコアを用いた場合と同様に、圧縮強度の予測、中性化の進行度合いと将来予測、塩化物イオンの浸入状況と将来予測、アルカリ骨材反応の有無と将来の可能性予測が可能です。

圧縮強度と中性化は、すでに技術が確立されているソフトコアリング、ソフトコアリングC+に従って1)試験を行います。なお、弊社はソフトコアリング協会の会員です。

塩化物イオンは、電子線マイクロアナライザ(EPMA)の面分析により濃度プロファイルを求め、それから見かけの拡散係数を算出して塩化物イオンの浸入速度予測を行います。EPMAは、100µm以下の間隔で分析が可能なため、塩化物イオンが表層から数mm程度しか浸透していない場合でも、塩化物イオンの濃度プロファイルが得られ、見かけの拡散係数を算出して浸透予測をすることが可能です。これに対してスライス法やドリル粉法などの他の方法では、塩化物イオンの浸入が10mm以下の段階では拡散係数を求めて将来予測を行うことは困難です2)3)。

アルカリ骨材反応(またはアルカリシリカ反応、ASR)は、肉眼観察により、反応生成物や骨材の変状(ひび割れや反応リム)を調べます。必要に応じて、走査電子顕微鏡(SEM)により拡大して反応生成物を観察し、構成元素を特定することで、アルカリシリカゲルであることを確認します。さらに、コア中の骨材を観察し、骨材がASRを起こしやすいか否かを判定することも可能です。肉眼やルーペ、実体顕微鏡観察により構成される岩種や、偏光顕微鏡観察によってASR反応性骨材の有無を調べます。

参考文献

1)小径コアによるコンクリート構造物の調査技術「ソフトコアリングC+」、建技審証第0317号PDF試料
2)森、塚本、大竹、田中:小径コアを用いたコンクリート中の塩化物イオン濃度プロファイル測定へのEPMAの適用に関する実験的検討、第62回セメント技術大会、pp.230~231、2008
3)大竹、塚本、高橋、吉井:実構造物から採取した小径コアを用いたEPMAによる塩害劣化調査、土木学会第63回年次学術講演会、pp.1019~1020、2008

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